【目次】

【4.科学の発展に伴う認識上の困難問題】

 〔4.1 工学から科学へのアプローチ〕

 最近では、'情報科学'とか'システム科学'とかいう名前のつく学部、大学院が見られるようになってきた。情報もシステムも工学的応用が広く研究され、その土台の基に科学へと発展してきた分野である。工学的な手法をとり入れた総合型のアプローチが、科学の手法として必要とされつつある。また、'総合''環境''国際'という類の言葉を含む新しい学部・学科も最近増えてきた。全体から部分を捉えようとする気運が高まってきたと考えられる。

 科学において、分野を細分化し、お互いの住み分けができていたころは、ある意味で平和であったかもしれない。分野が異なれば、互いに何をやっているか全く分からなかったであろうから、摩擦が生じることもなかったであろう。しかし、これだけ科学が成長し、さらに情報交換がたやすくできるようになると、違うアプローチを取る別の研究者が、ある同じ対象扱うという場合がでてくる。たとえば、情報系の研究者と物理系の研究者で、ともに意見がかみ合わないという現象は、ネットニュース上でもしばしば見られることである。

 研究者にとって困難なことは、分析型アプローチと総合型アプローチとでは、思考プロセスにおける方向性が、互いに逆向きであるということである。一人の研究者が両方向のアプローチを使い分けられる場合が理想であるが、研究者によっては得手・不得手がある。そのため、たいていはどちらか得意な一方のアプローチをとるという場合が多い。


  〔3.3 科学における循環型発展モデル〕
【4.科学の発展に伴う認識上の困難問題】
  〔4.1 工学から科学へのアプローチ〕
  〔4.2 アプローチの違いによる相打ち型議論〕
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