3.複素点電荷

3.1 点電荷のエネルギー

 点電荷の大きさがゼロになると点電荷のエネルギーは、計算上発散する。エネルギーが発散しないよう、なお矛盾なく点電荷を定義することは、物理学でも最大の難問になっている[3]。また点電荷がなぜ安定して存在するのか、という理由も明らかではない。

 理想的な点電荷は数学的な仮想であるが、実在の点電荷の代表は陽子であろう。一方、電子は陽子と同量逆符号の電荷を持っているが、雲のような存在であり電子を点電荷とは言いにくい。

 そこで、原子の構造を同心球面対共振回路として捉えてみる。陽子は内球面であり、電子は外球面に相当する。電束は表面電荷から始まり、そして対向する面の表面電荷で終わる。内球面のさらに内部には電磁界は存在しない。ゼロ点付近はエネルギーのインターチェンジになっているが、ゼロ点自体には電荷は存在しないし、エネルギーも存在しない。何もない空間である。空間の穴、泡、あるいは真の意味での空(くう)とでも呼ぶべきだろう。このように仮定すると、ゼロ点でのエネルギー発散の問題は回避可能と思われる。