3.存在におけるペアシステム

 3.1 陽陰のペアシステム

 電気は,陽極と陰極というように,プラス面とマイナス面があり,それらがペアとなり,種々の現象を引き起こす舞台となっていると考えられる.そして,この陽と陰のペアシステムは,他の多くの現象にも見られるように,存在におけるある種の根本的な性質でのように思われる.

 たとえば,人間においては,男性と女性,動物においてはオスとメス,植物においては雄しべと雌しべ,また,分子世界では,陽イオンと陰イオンというように二性の区別がみられる.

 このように人間を含むあらゆる存在のなかに,陽性と陰性のペアシステムが見られるのは,その原因となっているある種のエネルギーにもそのような性質が備わっているからと考えられる.

 3.2 粒子性と波動性

 こんどは量子力学などに見られる,粒子性と波動性は,どのような性質の側面であるか考えてみる.

 たとえば,プラスの電荷とマイナスの電荷が,互いに往復運動や回転運動を起こしたとき,電荷の時間変化は電流変化として現れ,その回りには磁場が生じる.そして電場と磁場の相互作用は,マックスウェルの方程式で現されるように空間の性質として現れると考えることができる.

 ダイポールアンテナ(双極子)とよばれる電磁放射を行う現象がある.これはペアの点電荷が周期的に変化する場合に,電界と磁界の変化が空間を伝わる現象としてみることができる.これらは現実に,ラジオやテレビなどの電波でおなじみのものである.

 さらに電磁波は,その周波数によって性質が大きく異なる.家庭用の電力送電には60Hz(または50Hz)の電磁波が使われ,AMラジオは1MHz付近が,VHFのテレビ放送は100MHz付近の電磁波が使われる.また調理に使う電子レンジは,電磁波の加熱作用を用いるため2.45GHzのマイクロ波が用いられる.さらに電磁波の一種である可視光は,周波数において1015Hzのオーダーである.同じ電磁波でありながら周波数によってそれぞれまったく性質が異なる現象として現れる.

 波としての性質は,各種音楽器の音色に見られるように,重ね合わせることで個性や性質のちがいとして現れ,世の中の多様性を形作る原因になっているとも考えられる.

 そして,電磁波は,振動周波数が高くなるほど,エネルギー的には高くなり,波動性より粒子性としての側面が強く現れてくる.つまり,時間的に変化する電荷は,電磁波としての波動性と,電荷の位置エネルギーとしての粒子性の両面の性質を備えていることがわかる.

 以上のように,陽性と陰性,粒子性と波動性のペアシステムは,その根本的原因である,ある種のエネルギー自体内に,そのような性質を表す構造が備わっていると考えられる.