5.既成の科学との整合性
点電荷の構造について新しい,またある意味で大胆な仮説を提案した.このように既成の科学に新しい仮説をつけ加え変更する場合,次の点が重要であろう[5].
1) 変更点はごくわずかか,できれば一カ所であること.
2) 既成の科学を否定するものではなく,むしろ内含すること.
3) その仮説を導入することによって新しい事実が予言されること.
変更点については電荷の値,その一カ所にひねりを入れただけである.また,既成の科学から見た場合,考えられる疑問点・反論点は,たとえば次のようなものであろう.
『電荷は今までプラスとマイナスの電荷しか観測されていないし,電荷素量が時間と共に変化するという実験事実はない.』これに関しては今後の検討を要するが,一つの可能性として,すべての物質が(ミクロなレベルで)すべて同期して振動している,と考えることである.つまり,観測する側の人間や観測機器を構成する物質もすべて同期して振動していると考える.ちょうど昔なじみのレコードプレーヤのターンテーブルが,蛍光灯のもとで止まって見えたように,プラスとマイナスの局面だけが実在物として観測されると考えるのである.そしてもしこの考えを採用するなら,このことは(ポール・デラックによって理論的に存在が予言されている)磁気単極(magnetic mono pole)が,なぜ未だに観測されないか,という理由も同時に答を与えることになるだろう.
また他の予言的内容としては,静的な電場として考えられてきた静電気は,位相のそろった準動的な波動である可能性が示唆される.またこのことは静電気放電等による電子機器への誤動作の問題,すなわち21世紀への課題ともいわれるEMC(環境電磁工学)問題など未解決の問題を考える糸口になるかもしれない.また新しい通信方法や新しいエネルギー源の開発の可能性を開く糸口にもなるのではないかと筆者は考えている.