帝塚山学院短期大学研究年報 45, pp. 95 - 110, 1997

点電荷の複素ポテンシャル表現とその意味について
Complex potential of an electric pole with dual essentialities

戸上 良弘


Abstract

  It seems that everything in nature consists of pair systems.

  I take as my starting assumption the existence of an electric pole which has dual essentialities. Possessing dual essentialities is defined as the possession of the dual characteristics of being positive/negative and of being particle-like/wave-like. The electric pole alternates between positive and negative in periodic cycles. Positive and negative charges in this case mean two aspects whose phases are shifted by 180 degrees with respect to each other.

  The Dual Essentialities of the Electric Pole ("DEEP") constitutes complex potential fields.

1.はじめに

 電気は,それ自体目に見えない‘何か’であるが,静電気や雷などの自然現象に現れるように,その存在を疑う余地もなく,私たちの身近なエネルギーの一形態として存在している.

 電気のエネルギーは,今や私たち人間生活にはなくてはならないものであり,他の種々のエネルギーを電気に変換することを発電という.発電には火力発電,水力発電,風力発電,太陽光発電,原子力発電などいろいろあるが,そのエネルギー変換目的の方向性をみても,電気は他のエネルギー形態より使いやすい,いわば‘質’の高いエネルギーであるとみることができる.すなわち,電気のエネルギーは,他のエネルギー形態の中でもより根本的なものであると考えるのは,自然なとらえ方であろう.

 本論文では,その電気の基本量である電荷(charge)について掘り下げて考察する.ことに点電荷(an electric pole)は,電気を考える上で一番基本となる概念であり,一般に正(プラス)と負(マイナス)の二種類の電荷の存在が認められている.その電荷の存在を前提とし,電気や磁気を扱う学問分野に電磁気学がある.また,エネルギーという概念を中心に物質を扱う学問分野に物理学がある.しかし電磁気学では電荷そのものについては扱わない.一方,物理学でも電荷を持つ最小単位である電子や陽子などについても,まだ明らかでないことが多い.

 2章では電気についてどこまで明らかになっているかを再確認する.3章では自然を幅広い視野から見つめ直し,一つの仮説を導く準備をする.4章では点電荷の構造に関して新しい仮説を提案する.


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